45年以上前、TSOの建物は繊維製品の試験場でした。
この建物はその後も用途を変えながら、事務所や、創業支援施設として改装を重ね、受け継がれてきたのです。
そして新しいワークスペース「TSO」は、『未来にやさしい空間づくり=TSO ETHICAL DESIGN』をテーマに空間設計が行われました。

TOKYOシェアオフィス墨田で
体験できる6つのR

壁や床、照明などを修繕して再利用しました。

部分的な化粧直しや修繕で、建物が重ねた記憶を継承。築45年以上が経過した白壁をできるだけ残しつつ、オリジナルな空間を創り上げました。

経年劣化した塩ビタイルを剥がし、磨いて、修繕、コーティングしました。過去に補修を繰り返し、時間を重ねてできた豊かな表情をそのままに。唯一無二の床から、建物の歴史を感じられます。

役目を終えた照明器具は丁寧に取り外して修理。打ち合わせテーブルのペンダント照明やリフレッシュエリアのブラケット照明など、『演出する意匠照明』へと生まれ変わりました。

利用されなくなったモノを内部の什器などに転用しました。

少子化により学校では机と椅子が大量に処分されています。使わなくなった図工椅子を受け入れて、丁寧に磨き、塗装。工房チェアにリフレッシュしました。

再利用されにくいドラム缶について寸法から用途を検討。防水性を活かしてプランター兼カウンターへ。施設導線の交差点でコミュニケーションを促すタッチダウンテーブルへと転用しました。

廃棄するものを分別し、再資源化を図りました。

産業廃棄物の再資源化率の全国平均は53%。TSOでは90%以上を達成しました。分別することを考えて慎重に解体し、現場で細かく分別。その後のリサイクル工程もスムーズにしました。

※出典:環境省 令和2年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和元年度速報値(概要版)

自然素材や再生素材を積極的に利用しました。

東京の地場木材である『多摩産材』を積極的に利用し、東京の森林維持に貢献。生産・製材・加工まで一貫してメイドイン東京の、家具や造作を体験いただけます。

製材時に出る端材、廃棄物として回収された廃材などを原料にした木質ボードを家具の主要材料として利用しています。

木質系廃材と廃プラスチックを混合・成型したリサイクル人工木のデッキ材を、野外の植栽プランターボックスに。原料として再利用できる循環型素材なので、環境負荷を軽減できます。

海洋廃棄物のプラスチックをアップサイクルしたカーテンをワーキングスペースの間仕切りとして利用しています。

廃棄衣料を細かく裁断し、糸状につなげた編み糸でクッションを作りました。同じ色味がないユニークな表情は、アップサイクルならでは。座り心地が良いのも特徴です。

再生から解体まで、資源循環を配慮してデザインしました。

多摩産材の製材時に出る半月型の端材『バタ材』を、ギャザリングカウンターの仕上げ材とペンダント照明に。バタ材ならではの表情や形を残してリデザインしました。

多摩産材の製材時に出る木の皮『バーク』を原料にして、表情豊かなマーブル模様のパネル素材を作りました。ソロワークテーブルや照明器具のシェードへとリデザインしました。

床の修繕時に剥がした『塩ビタイル』を細かく裁断し、モルタルと混ぜ合わせました。石材のような表情のプランターボックスにリデザインしました。

空調や電気設備等の入れ替えのため解体した金属製の天井材を、コワーキングスペースのカウンターテーブルとペンダント照明へリデザインしました。

大空間確保のために一部の壁を解体。その壁材のユニークな断面を活かして、カウンターテーブルに。多摩産材と組み合わせています。

空間をアップデートして、都市・建築を活性化します。

清掃や補修に加えて、植栽やベンチを部分的に設置。大きな改修をすることなく、地域に開けた明るい印象になりました。今後はイベントも開催される『街に開けた玄関』としてアップデートし続けます。

重ねた歴史の中で、足され使い古されたもの、現状の用途や建築基準にそぐわないものを丁寧に取り除きました。新しい仕上げは最小限に『引き算』をしながら補修。建築本来の持っている姿を取り戻し、明るく開放的な内部空間になりました。